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特別読み物・コラム
 
第9回全国ホームタウンサミットIN天童

会場全国ホームタウンサミットは、「Jリーグ ホームタウンサミット」と称し、1999年に第1回が平塚市で開催されました。これは、「2002日韓W杯開催前の日本を、W杯にむけた機運醸成を図る」こと及び「Jクラブのある地域にサッカーへの興味を喚起し、スポーツ振興を市民が自ら考えていく」ことを基本理念に企画されたものです。
 現在は「全国ホームタウンサミット イン(開催地名)」と名称変更し、Jクラブのホームタウンだけでなく、将来Jクラブを目指す地域や興味のある方々を幅広く受け入れて、毎年恒例の事業として開催されています。
また、「スポーツ振興に対する市民レベルからの支援」「市民参加型のスポーツを通じたまちづくり活動」の具現化されたもののひとつという考え方をもっており、第9回目の今年は11月1日に天童市で開催されました。

○開催概要
開催日:2008年11月1日(土)
開催場所:山形県天童市総合福祉センター
主催:ホームタウンTENDO推進協議会
共催:天童市、天童市教育委員会、天童商工会議所、(社)天童青年会議所 等
後援:(社)山形県スポーツ振興21世紀協会・MVS、パイオニアレッドウィングス、(株)楽天野球団 等

○詳細報告
1.開会式
 開会式では、まず始めにホームタウンTENDO推進協議会長の遠藤天童市長から歓迎の挨拶及び天童市の紹介がありました。
 次に全国ホームタウンサミット・佐々木理事長から全国ホームタウンサミットの経過報告が行われました。

三屋裕子氏講演会2.基調講演
 三屋氏の講演は、スポーツと地域の関わりや医療、教育問題にスポーツが果す役割など多岐に渡り、とても貴重な内容でした。
 主な講演内容を以下に記載します。
(1) Jリーグ理事になってから10年が経過したが、最近バーンアウト(燃え尽き症候群)により高校でスポーツを続けない子ども達が増えている。
(2) 15,16年前に企業スポーツが衰退して行く中で、ドイツのゴールデンプランに見られるような地域でスポーツを支える時代になることを実感した。
(3) そして、10数年前のテレビのインタビューで「チャンピオンスポーツをやってきたが、スポーツを通して高齢者及び子ども達の健康づくりに役立ちたい」と発言したところ、翌日Jリーグチェアマンの川渕さんから電話があり、「Jリーグの100年構想を一緒に具体化しないか」という理事への就任要請があった。
(4) スポーツで地域を活性化させるという目標を立てる地域があるが、まず始めに「地域のあるべき姿、独自性」について話し合い、次にスポーツがどのように関わっていくのか考えて行くことが大切。
地域の人たちが誇れる目標を見つけてください。
(5) 医療問題にスポーツが関われる部分は大きい。メタボ、脳卒中、高血圧など。しかし、スポーツにアレルギーを持っている高齢者が多い。スポーツ無理、運動神経ゼロなのという話を聞いたことありませんか。スポーツを始めるきっかけ作りを40歳代、50歳代から始めないといけない。
(6) ジュニアスポーツの問題点は“さんま”。「さんま」とは3つの間、時間、空間、仲間のこと。子ども達の健全な発育に支障を生じさせない取組みが必要。
(7) 子供の脳が危ないと言われています。それは大人のお手伝いをしない子供が増えているから。
子ども達は失敗によって大きく成長します。そしてお手伝いは、見て学べる場。なのに、大人が子供にお手伝いさせない、あるいは過剰教授してしまうことから成長の芽を摘んでいます。
(8) 観戦・応援・そしてスポーツをするというプロセスが大切です。私は最終的にみんなにスポーツをやってもらいたい。やることで様々な問題が解決します。
(9) 同世代の活動ばかりしていると価値観が固定化されてしまう。他世代との融合が必要。
(10) スポーツを行う上では受益者負担という考え方が重要。日本人には受入難い部分もあるが、健康づくりが大切な時代だからこそ受益者負担によってスポーツ振興を図っていく必要がある。
(11) これまではスポーツに関して学校、企業、地域の融合が無かった。この垣根を払った形でスポーツを行わないといけない。
(12) 週3日以上定期的にスポーツをしている国民の割合は約20%であり、スポーツは特別なものと受け止められています。最近では、子ども達のスポーツ離れが顕著で、子ども達の健康が懸念されます。だからこそ、プロ選手は良いパフォーマンスを子ども達に見せて、刺激してあげるという役割があります。また、プロ選手は感動を伝えるとともに立ち振る舞いの点でも見本にならないといけない。
(13) 日本は様々な問題を現在抱えています。厚生労働省、県、市町村が解決すれば良いことと決めつけないでください。クラブは、ボランティアは、地域は、その問題にどのように関わっていけるのか、関わっていくのか考えていただきたいと思います。

1.開会式
2.基調講演
テーマ「プロスポーツと地域をつなぐアタック!」
講師:Jリーグ理事 三屋裕子氏
3.分科会
 テーマ1「クラブチームと地域の融合」
 テーマ2「ボランティア団体同士の融合」

分科会3.分科会
分科会は、第1分科会は「クラブチームと地域の融合」、第2分科会は「ボランティア団体同士の融合」というテーマで意見交換が行われました。
「クラブチームと地域の融合」のある班は、Jクラブチームのボランティア、クラブスタッフ、スポーツ少年団の運営に携わる方、行政担当者、天童JCスタッフなどいろいろな立場の方がいました。
まず各参加者が自己紹介と、それぞれの立場で取り組んでいることや問題点の紹介をし、まとめとして、基調講演で三屋氏がおっしゃっていたように、自分達がどのような街にしたいのかについての構想をしっかりと持ち、活動に取り組むことが重要ということで締めくくられました。 各地で熱心に活動されている方々の話を聞いて、それぞれが次の活動への刺激となったはずです。

4.理事会
分科会と並行して全国ホームタウンサミット理事会が開催されました。
理事会では、2008年度会計報告、執行部改選、次期開催地選考方法、次期開催地候補等について議論され、次期開催地には新潟市が選定されました。
また、安定的な開催のために、2010年の開催について議論され、2010年度の開催立候補地を11月末まで募集することになりました。

天童サミット実行委員会5.交流会
 天童市総合福祉センターから会場を「ほほえみの宿 滝の湯」に移し、午後6時30分に交流会が始まり、賑やかな雰囲気の中で旧交を温める方や情報交換を行う方などあちらこちらで交流の輪が広がっていました。
 乾杯をしてから30分が経過した頃、参加地域のPRタイムがありましたが、コントや歌など練習を重ねてこの場に臨んだ地域がいくつかあり、参加者の目を釘付けにしていました。
また、交流会が終わりに近づいた頃、来年の全国ホームタウンサミットは新潟市で開催されることが紹介され、新潟からの参加者が登壇し、今年の開催地から次期開催地へのサミット旗の引継ぎが行われました。

6.おわりに
ここに来れば、新しい発見が必ずあります。
講演会、分科会、交流会はもちろんですが、街中を散策していてもスポーツに対するまちの姿勢が伺える場に遭遇するだけで訪れた価値があると思います。
記念となる第10回目の開催地が新潟市に決定したことはとても光栄なことです。
そして、全国の方々は新潟での再会を期待していることでしょう。
参加される方が楽しく、有意義なサミットであったと感じていただける大会に出来るよう、これから多くの方と協力して作り上げて行きたいと考えています。
それは、全国ホームタウンサミット終了後に、「スポーツで幸せなまちづくり」を具体化するために考える場を設け、様々な団体がネットワークを形成し、目標に向って力強く前進するために。

ポン太【エピソード】
アルビレックス新潟がJ2リーグ戦を戦っていた頃、山形戦の観戦に行く時に立ち寄っていたカレーやさん(ポン太)で食事しました。
おばさんに新潟から来ました。5年ぶりで、サッカー観戦の帰りに食事させてもらいました。とお話したら、5年前どこに座って食事したか覚えていてくださいました。
その瞬間、ちょっとした思い出はとても貴重なものに変わりました。

以上 文責 N.K